軟鉄鍛造

軟鉄鍛造

W.D.D.Accurate Forged

3つの要素、設定重量・設定寸法・素材密度を可能な限り高い精度で実現させた、ミウラ独自の軟鉄精密鍛造製法、それがW.D.D.Accurate Forgedです。
鉄は鍛えれば鍛えるほどいい材料になります。しかし、同じ鍛造型を使って何度たたいても、鉄の組織が締まっていくという変化はまったくありません。
S20C軟鉄丸棒をヘッドの形に鍛造していく工程において、最後の仕上げ型を使った精密鍛造工程を行なうことで初めて密度の均一な、よい状態の材料と劇的に変化します。
ミウラの仕上げの鍛造はしっかり鉄を内部に向けて締めることを目的に、型が壊れないレベルのなるべく低い温度(800℃程度)で、鉄の組織が動くスピードに合わせた速度でしっかり鍛圧をかけます。こうすることで鉄の組織は密度が高く、均一でより安定した、滑らかで美しい地肌の状態になります。ある意味では、一次、二次鍛造は最後の精密鍛造型にしっかりはめ込むための準備工程だとも言えます。
高い素材密度と、設計寸法や設定重量に限りなく近い高精度でできあがった鍛造材料は、その後の研磨工程や完成製品のクオリティに大きく関係します。この時点で高レベルの精度を達成しているからこそ、製品のバラツキもなく、セット間の流れが揃った美しいヘッドへとなれるのです。
この精密鍛造製法こそミウラが世界に誇る、W.D.D. accurate forgedなのです。

鉄を型の中に閉じ込めていく

ミウラの歴史は鍛造の歴史といっても過言ではありません。
どうすればより締まったヘッドができるのか、いろいろな試行錯誤から到達したのが現在のW.D.D.Accurate Forged製法です。
美しく締まったヘッドを作るには、美しい仕上げ型を作ることから始まります。
複雑な形状のキャビティアイアンの形をどうすればエッジの立った鍛造で表現できるのか・・・銅マスターヘッドから仕上げ鍛造型を製作しますが、何度も試打ちを繰り返しながら仕上げ型を作り出していきます。
そのように苦労して出来上がった仕上げ型によってしっかり鍛造されたヘッドは、そうでないヘッド(例えば粗鍛造レベル)と比べると、同じ体積でも密度の差から重量は重くなります。(中に鉄がしっかり濃い状態で入っているイメージ)
このことは研磨すれば顕著に差がわかります。しっかり鍛造されているヘッドはグラインダーで、組織が詰まっているため容易に重量は落ちませんが、そうでないヘッドは同じ力をかけると簡単に重量が落ちます。
そしてこの組織密度の高い精密鍛造の最大の特長は打感にあります。前述の組織が均一で安定した状態の材料は、振動が起きにくい特性があります。ヘッドがボールにぶつかるインパクトの瞬間、スポットでミートした場合、ヘッドのエネルギーはほとんどボールに伝達されエネルギーロスとなる振動はあまり起こりません。芯を喰ったインパクトで、手ごたえが無いのはこのためです。そしてしっかり鍛造されたヘッドは、スポットを外しても振動が発生しにくく、エネルギーロスが少ないため飛距離の落ち込みも少ない結果となります。
スポットエリア(エネルギーロスの少ない)は形状によって大きくできますが、材料と製法の関係によっても大きくすることが可能なのです。私たちが軟鉄精密鍛造にこだわる理由がここにあります。
クラブになってしまえばこのような中身は見えません。しかしわたしたち三浦技研のヘッドには、よい道具にするためのこだわりがしっかり詰まっているのです。

ホーゼルをつけない鍛造

ヘッドの数字的精度を追求する場合、何処に計測する基準を置くかが大切なポイントとなります。三浦技研の場合、スコアライン刻印をヘッドの計測基準に定めています。ロフト角やライ角、フェースプログレッション(F.P.)、バウンス角など、すべてこのスコアラインをもとに計測していきます。
そしてその延長線上にシャフトがあります。シャフトはホーゼルの内部、約30mmの部分で接着されており、シャフトがホーゼル穴に対し垂直で取り付けられることはもっとも基本となります。そしてその基本は、ホーゼル穴が設定通りの数値で開いているかどうかが大きく関係しています。
ミウラでは、ヘッド部分の鍛造後、設計通りにスコアラインの刻印を入れます。このスコアラインを基準として、あらかじめ中心に穴の開いた精密に造られたホーゼル部分とヘッドを摩擦圧着溶接方式により一体化させます。この工程によりロフト、ライ、F.P.の数値を正確に設計通りにします。此処までの工程で鍛造品と称される状態になります。この段階で設定重量誤差は ±1g に仕上がっています。
接合の際に溶剤を使わずに材料同士を溶かして接合するのが圧着溶接のポイントです。これは溶接の中で最も強度の高い接合方法とされています。実際、ロフト・ライ角調整を行ないネックに負荷をかけても、この圧着部分からホーゼルが取れたり、曲がったりすることはありません。
そしてこのような鍛造方法を採用するもう一つの理由が、鍛造の質です。
一般的な鍛造ヘッドはホーゼルが付いた状態の一体型鍛造製法で出来上がっています。鍛圧がネックまでかかるので打感がよいと言われていますが、ミウラの考え方は異なります。
前述したように鍛造とは鉄を規定の形に成形する役割以上に、鉄をヘッドの形に閉じ込め、しっかり締まった密度の均一な組織を持ったヘッドにすることが大切だと考えています。
鉄を外に逃がさず、中に閉じ込めるためにはできるだけ平面的に力を加えることが必要で、ネックが付いた複雑な形で鍛造するとどうしても鍛圧が不均等な部分がでやすいと考えています。
そして一体鍛造の場合、ホーゼルに対してストレートな穴を開ける作業は非常に誤差の生じやすく難しい作業となります。
回転しながら穴を空けるドリルの刃は特性上、肉厚の薄い方向に進もうとしやすく、ゴルフヘッドの場合どうしてもネック部分の懐となる方向にドリルの刃が向かおうとします。つまりシャフト装着時にホーゼルとシャフトが一直線になっていない状態になりやすい問題があります。
製造工程は増え、手間がかかる製法ですが、ミウラの精度を追求したこだわりがこの圧接作業を30年以上続けている理由でもあります。